挫折の時間

私達の学校では、学年内順位も答案と一緒に届けられる
これまで返ってきたなかでE組がA組に勝った教科は英語、社会、理科
国語が得意な有希子ちゃんは残念ながら学秀君に一歩及ばず、だけど大躍進だった
そして残る教科は数学と総合だけ



「数学のE組1位は苗字名前!そして…学年1位も素晴らしい!苗字名前、満点!」

「おお!」

「さすが名前!」

「そして残るは総合順位ですが…、何と!中間試験の雪辱を遂げ、総合1位も名前さんです!」

「きゃあああ!すごい!」

「良くやった名前ちゃん!」

「えへへ、ありがとう」



みんなから祝福を受けながらも、心に引っかかるのはカルマくんの事
右隣の空席に思わず眉を下げると殺せんせーが小さな声で「一緒に行きましょう」と私の肩に手を置いた



***



「恥ずかしいですねぇ、“余裕で勝つ俺カッコいい”とか思ってたでしょ」

「もう、殺せんせー!」



裏庭で見つけたカルマくんは悔しそうに答案を握り潰していて、何て声を掛けようか迷っていると殺せんせーがわざと彼の神経を逆撫でするような発言をした



「先生の触手を破壊する権利を得たのは…中村さん、磯貝君、奥田さん、名前さんにおいては数学と総合で何と2本!暗殺においても賭けにおいても、君は今回何の戦力にもなれなかった」

「…っ!」

「刃を研ぐのを怠った君は暗殺者じゃない、そんな事では大切なものを守るなんて到底出来ませんよ」



そんな殺せんせーの言葉に、カルマくんは私の手を引いて校舎まで戻って行く
後ろでは烏間先生が心配そうに殺せんせーに何か話し掛けていたけど、カルマくんはもう大丈夫
だってほら、彼の瞳がこんなにも強い光を放っているんだから



「…ふふ、」

「何笑ってんの」

「やっぱり、カルマくんは誰よりも素敵だなぁって」

「…ばーか」



教室に戻って、寺坂君と吉田君の家庭科作戦が成功して結局破壊出来る触手は7本になった
そして皆を代表して磯貝君が前々から話し合っていた作戦を殺せんせーに提示する



「これは皆で相談したんですが、この暗殺に…今回の賭けの“戦利品”も使わせてもらいます」



挫折の時間
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