エースの時間
「こらカルマ君、名前さんを見習って真面目に勉強しなさい!君達なら充分総合トップが狙えるでしょう!」
「けどさぁ殺せんせー、あんた最近“トップを取れ”って言ってばっかり。フツーの先生みたいに安っぽくてつまらないね」
「カルマくん、そんな言い方…」
「それよりどうすんの?そのA組が出した条件って…なーんか裏で企んでる気がするよ」
「心配ねーよカルマ、このE組がこれ以上失うモンなんてありゃしない」
「本当、名前ってば良い勝負取り付けてきてくれたよね!学食の使用権とか欲しいなぁ」
「ヌルフフフ、それについては先生に考えがあります。これをよこせと命令するのはどうでしょう?」
殺せんせーが学校のパンフレットのある1ページを指し示す
意外な提案に私達が驚いていると、せんせーはにこやかに教壇に立った
「先生の触手、そしてコレ。ご褒美は充分に揃いました。暗殺者なら狙ってトップを殺るのです!」
***
やってきた試験当日
カルマ君、名前ちゃんと一緒に教室に向かう途中で中村さんに声を掛けられた
「どうよ渚、ちゃんと仕上がってる?」
「…まあヤマが当たれば」
「男ならシャンとしな!英語ならあんたも上位狙えるんだから!」
「そうだよ渚くん、頑張ろうね!」
「うん、名前ちゃん」
「楽しみだなァ、A組と無謀な賭けしたんだって?」
和やかな空気が流れるなか、田中君と高田君がいつものように野次を飛ばしてくる
カルマ君が笑顔で殴りかかろうとするのを必死に阻止していると、その間に名前ちゃんが2人ににこりと微笑みかけた
「そうなの、きっと私達が勝つから楽しみにしててね」
「げっ!前回学年2位の苗字さんだ」
「おい、行こうぜ」
2人は名前ちゃんを見るとそそくさと教室に入ってしまう
そんな光景を見て中村さんが名前ちゃんの背中を豪快に叩いた
「いやぁ、本当名前ちゃんがいると本校舎歩いてても気持ち良いよ!」
「莉桜ちゃん、痛いよ…!」
「それにしても、名前ちゃんがE組に来るまで全然接点なかったから知らなかったけど、中間2位なんて凄いじゃん!」
「前回は学秀君に2点差で負けちゃったの。でも今回は絶対勝つよ、触手のためだもん!」
「頼りにしてるよ!さて…あたしらのテスト会場ここだよね」
全員が席についたところで、試験開始を告げるチャイムが鳴った
本来1人で受けるはずの試験なのに、色んな人と同じ舞台にいるのを感じる
一緒になって闘う人
敵となって闘う人
応援をくれたり野次を飛ばす観客席
これはまるで…
僕等は殺し屋、おまけに今は闘技者
闘いのゴングが今日は鳴る!
エースの時間
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