期末の時間

「総合と5教科全てで6本の触手を破壊出来る…か、殺せんせーも上手い事考えるよな」



期末試験2週間前に殺せんせーが提示した“ご褒美”
私達は触手の破壊に向けてお昼休みに自主勉強をしていた



「珍しく気合い入ってんじゃん、奥田さん」

「はい!理科だけなら私の大の得意ですから!やっと皆の役に立てるかも!」

「そうだね、1教科限定から上位ランカーは結構いるし…何より今回は名前がいるもん!」

「うん、一緒に頑張ろうね、カエデちゃん」

「あ、あはは、私はほどほどに…」

「でも、さっき進藤からA組が自主勉強会を開いてるって連絡があったし、あっちも相当本気だな」

「なぁ名前ちゃん、A組っていつも試験前はそんな感じなのか?」

「ううん、こんな事初めて。今までは皆、自分さえ良い点が取れれば…って感じだったから」

「うーん、敵も手強いな…」

「でも大丈夫!A組に負けないくらい点数取るために頑張ろう!」

「そうだな!頑張ろうぜ!」



こんなに皆で団結して何かに取り組むのは今までにない経験でとてもわくわくする
私も皆の役に立てるように、張り切って参考書を開いた



***



「なあ名前ちゃん、放課後空きなら本校舎の図書室で勉強教えてくれないか?」

「磯貝君、もちろん私に出来る事なら協力するよ!」

「サンキュー、期末を狙ってずっと前から予約しといたんだ!」

「あ、カルマくんは?」

「俺はパス、昼寝してるから終わったら連絡ちょうだい」

「分かった、また後でね」



渚くん、カエデちゃん、磯貝君、愛美ちゃん、莉桜ちゃん、有希子ちゃんと一緒に図書室で勉強会を開く
莉桜ちゃんに英語の構文を解説していると、元クラスメイト達が話し掛けてきた



「おや、E組の皆さんじゃないか!もったいない、君達にこの図書室は豚に真珠じゃないのかな?」

「どけよザコ共、そこ俺等の席だからとっとと帰れ」

「ここは俺達がちゃんと予約取った席だぞ」

「君達は本当に記憶力無いなぁ、この学校じゃE組はA組に逆らえないの!成績が悪いんだから」

「…小山君、それなら貴方達は私に逆らえないって事で良いよね?」

「なっ、苗字!お前もいたのかよ!」

「私達勉強してるの、席を探してるなら他を当たってくれる?」

「良く言ったわ名前ちゃん!」

「…まあ苗字の他にも、1教科だけなら一応勝負出来そうなのが揃っているか」

「っ、小山君!愛美ちゃんに謝りなさい!」



ゴツゴツと愛美ちゃんの頭を叩く小山君にカッとなって立ち上がる
すると荒木君がにやりと笑って私の前に立った



「じゃあこういうのどうだろう?A組とE組、5教科でより多く学年トップを取ったクラスが負けたクラスにどんな事でも命令出来る」

「な…っんだよそれ、」



磯貝君は驚きの表情を浮かべるけど、荒木君はそんな彼を無視して私をにやにやと見つめる
私1人で決められる事ではないので皆を見渡すと、にっこり笑って頷いてくれた



「いいよ、勝負しよう」

「…ていうか、お前ら全員中間試験の順位が名前ちゃんより低かった事分かってて言ってるのか?」

「っ、エンドのE組の分際で生意気言ってるんじゃねえよ!」

「受けるんだなこの勝負!死ぬよりキツい命令を与えてやるぜ!」



まるで安物の映画の悪役のように走り去っていく5人を見送って、やれやれとため息をつく
この図書館の騒動はたちまち全校生徒の知る所となり、この賭けはテストの後の私達の暗殺を大きく左右する事となった



期末の時間
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