才能の時間
「お前の目も曇ったなァ烏間、よりによって女子を選ぶなんて」
「苗字さん、鷹岡は素手対ナイフの闘い方も熟知している。全力で振らないとかすりもしないぞ」
「…はい」
「ちょっと烏間先生!もし名前が怪我したらどうするんだよ!」
「カルマくん、私なら大丈夫だから」
「でも!」
「信じて、カルマくん」
「…分かった、頑張ってね名前」
「この勝負、君と奴の最大の違いはナイフの有無じゃない。賢い君なら分かるな?」
「はい、烏間先生」
周りからは心配する声が沢山あがるけど、私は至って落ち着いていた
そう、闘って勝たなくていい
殺せば、私の勝ち
「…?」
だから私は、笑って、普通に歩いて近付いた
そして出来るだけ距離をつめると、下から上へナイフを振り上げる
ここで初めて鷹岡先生は自分が殺されかけている事に気付いたみたいだ
重心が後ろに偏ってたから服を引っ張ったら転んだので、仕留めに行く
背後に回って確実に
「…ふふ、捕まえた」
ぴたりと頸動脈にナイフを突き立てると、時が止まったかのように校庭が静まり返る
そして一瞬遅れてわぁっと歓声が上がると、鷹岡先生が顔を真っ赤にして立ち上がった
「このガキ…もう1回だ!今度は絶対油断しねぇ、心も体も全部残らずへし折ってやる!」
「…確かに、次やったら絶対に私が負けます。でも、私達の担任は殺せんせーで、教官は烏間先生です。これは絶対に譲れません」
「黙って聞いてりゃ、ガキの分際で…」
気を悪くしたのか、鷹岡先生は私に殴りかかろうとする
でも、その瞬間カルマくんが私を抱き寄せてくれて烏間先生が鷹岡先生を倒してくれたお陰で私は無傷だった
「カルマくん、ありがとう」
「名前ってば無茶しすぎ、あんまり心配かけないでよ?」
「うん、ごめんなさい」
その後鷹岡先生は、理事長先生に解雇通知を渡されて校舎を出て行った
父親を押しつける鷹岡先生より、プロに徹する烏間先生の方がずっとあったかい
そう伝えると、烏間先生は優しく笑って私の頭を撫でた
才能の時間
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