親愛の時間

ー暗殺訓練の中間報告ー

男子は磯貝悠馬と前原陽斗、赤羽業
女子は岡野ひなたと片岡メグ
彼らは元より近接攻撃として非常に優秀であったが、最近彼らに負けず劣らず才覚を表している生徒が1人
苗字名前である
彼女は2ヶ月前にA組より編入してきたが、他の生徒に比べて自分の訓練期間が短いことを気にして放課後に訓練をしてほしいと願い出てきた真面目な生徒だ
身体能力が高く賢いので飲み込みが早く、1人でも俺がナイフを当てられるケースが増えてきた
彼女の成長は今後の暗殺計画に大きく貢献するだろう



そこまで記入して、俺は手を止めた
防衛省から送られてくる人員がそろそろ到着すると思うのだが…



「よ、烏間!」

「…鷹岡!」



現れたのは防衛省特務部の鷹岡明
俺の横を素通りして生徒達の元に近付くと、その明るい性格と持参した土産であっという間にクラスに馴染んでしまった



「…烏間先生、」

「どうした苗字さん、君は皆のところに行かなくていいのか?」

「怖いんです」

「怖い?」

「あの人…、鷹岡先生、 すごく怖くて」



鷹岡は相変わらずにこにことケーキを食べているだけだが、苗字さんは顔を真っ青にして震えている
彼女は元々観察眼に優れているが、何か感じ取ったのだろうか



「分かった、一緒に行こう」



俯く彼女の背中を押して、グラウンドの中心に向かう
鷹岡は既に生徒達を集めて今後の話を進めていた



「お、君が苗字さんか!よろしくな、俺の事を父親だと思って全部信じて任せてくれ!」

「…っ、よろしくお願いします」



苗字さんは絞り出すようにそう言うと、赤羽君の元に駆け寄ってシャツを握り締めている
だからこそ俺も最初は警戒していたが、鷹岡は見事に生徒の心を掴み軍隊と区別も出来ているようだ



「…アンタはいいのこれで?なーんかわざとらしいのよあの大男」



イリーナもそう言っていたが、あれなら訓練もはかどるだろう
俺のやり方が間違っていたんだろうか?
プロとして一線を引いて接するのではなく、あいつのように家族の如く接した方が



「もう1枚…?」



そこまで考えて、鷹岡が置いていった写真がもう1枚あることに気付いた
1枚目とは全く違うその異様な光景に絶句していると、外から人を蹴るような鈍い音が響いた



親愛の時間
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