にぎやかなのは仕様です

「嘘だ…」



大貧民がみんなにハーゲンダッツを奢る、っていうルールつきで始まった大富豪
みんなの手札はもう2〜3枚なのに、私だけ配られたままの枚数が手元に残っている



「お給料日前なのにー…」

「名前、お前弱いな!」

「そんな事ないもん!」

「いやあ、まだ1枚も出せてないなんてある意味すごいよな」

「もう、スガさんまで…!」



お財布の中身を思い浮かべて、しゅんとうなだれる
そんな時、がらがらと部室の扉が開いた



「おはようございまーす」

「蛍くん助けてえええ!」

「わ、どうしたんですか名前さん」



現れたのは(多分)バレー部で1番頭が良い蛍くん
思わず泣きついて経緯を説明すると、蛍くんは私の手札を見つめた後にやりと口元を歪めた



「あれ、名前さん革命狙いですか」

「え、え?」

「あ、もしかして内緒でした?すみません」



革命、と聞いてみんな少しざわつくけど、私の手札に革命を起こせるカードなんてない
蛍くんの顔を見上げると、しーっと人差し指を口元にあてて笑っていた



「僕が名前さんを大富豪にしてあげますよ」



***



「何でこんな事に…」



だいぶ軽くなった財布を見て思わず肩を落とす
月島が来てからゲームの流れが大きく変わって、気付いたら大貧民になっていた
はぁ、とため息をつくと不意に肩をつつかれる



「翔陽くん、アイスありがとう!すっごく美味しい!」



そこには、にっこりと笑う名前さんの姿



「いえ!喜んでもらえて良かったっス!」

「自分の分買ってないの?」

「あっ、えっと、今はそんな気分じゃないって言うか、その…」



お金が無くて買えませんでした、なんて恥ずかしいことは言えない
そう思って誤魔化していると、名前さんはアイスを大きめに掬って俺の目の前に差し出した



「はい、あーん」

「わ、ありがとうございます!」



ぱく、と差し出されたスプーンを口に運ぶとバニラの甘みが広がる
そんな俺らのやり取りを見ていた田中さんが突然大声を出した



「ああー!日向お前!」

「はい?」

「今名前と間接キスしたな!」

「えっ、えっ、間接キス…?」

「もう、何言ってるの龍ちゃん」

「日向お前何やってんだ!」

「こら、飛雄くんも落ち着きなさい!」

「名前さんと、か、間接キス…っ!」

「きゃあああ!大地さんスガさん!翔陽くんが倒れたー!」



にぎやかなのは仕様です
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