恋は戦争とかなんとか

「名前、これ」

「なに?」

「知らない。名前さんに渡して下さい、って」

「バレー部の子かな?」

「ううん、違うと思う」

「そっか、わざわざありがとう」



体育館で友達から手渡されたのは綺麗に折りたたまれたルーズリーフ
とりあえず開いてみると、「ずっと好きでした。良かったら連絡下さい」という字とともに携帯電話の番号が書いてあった



「何だこれ」

「っ、大地さん!」

「ラブレター?」

「うーん、人違いかな…」



同じ学年に名前という名前は私しかいない
そうなると、この手紙は紛れもなく私に宛てられたものになる



「ずっと好きでした、だって」

「もう、からかわないで下さい!」

「で、どうすんだ?まさか名前も顔も知らねぇような奴に電話すんのか?」

「え、でもお手紙ありがとうって言わないと「電話なんかしないよな?」

「はっ、はい!」



にこ、と大地さんが笑う
でもいつもの笑顔じゃない
龍ちゃんを叱る時みたいな、怖い笑顔
そんな大地さんに逆らえる訳もなく必死に首を縦に振ると、大地さんはぽんぽんと私の頭を撫でた



「うん、名前は良い子だなー」

「ありがとうございます…」

「でも、」



ひょい、とルーズリーフが大地さんの手に渡る



「これは没収な」

「え?」

「連絡とる訳でもねぇし、いらないだろ?」

「でも大地さんのじゃ「いらないよな?」

「もちろんです!」



そう言うと大地さんは満足そうに笑って体育館に戻っていった
…あ、ルーズリーフびりびりに破いてる



恋は戦争とかなんとか
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