いろいろズレてる
「龍ちゃん頑張ってー!」
「うおおお任せろー!」
「わっ、田中さん待ってええええ!」
朝、いつものように龍ちゃんの後ろに乗って学校を目指す
いつもと少しだけ違うのは、途中で翔陽くんと一緒になったこと
「よし、10分前!龍ちゃんお疲れ!」
「おう!」
自転車を置きに行く龍ちゃんを見送って、私は先に体育館に向かう
隣にいる翔陽くんはそわそわと視線を彷徨わせながら、口を開いたり閉じたりしていた
「翔陽くん、どうしたの?」
「えっ!あ、あの!聞いてもいいですか!」
「うん?何を?」
「あの、昨日影山と話してたんスけど…」
「うんうん」
「えっと、名前さんと田中さんって付き合ってるんですか?!」
「へ?」
ばっ、と意を決したように私を見つめる翔陽くん
付き合ってるって、私と龍ちゃんが…?
「…ふふっ」
「え?」
「あはははは!やだ翔陽くん、私が龍ちゃんと?」
「ちょ、何で笑うんですかー!」
「あはは、ごめんね、おかしくて…っ!」
「でっ、でも、影山も月島も、名前さんと田中さんは付き合ってるんじゃないかって言ってたし!
毎日二人乗りして一緒に来てるって聞いたし…」
「結構みんなに誤解されるんだけどね、私と龍ちゃんは家が隣同士の幼馴染みなんだ」
「へ、幼馴染み?」
「うん!私ね、小さい頃にお母さんを亡くしてお父さんは海外出張ばっかりだったから、良く龍ちゃんの家のおじさんとおばさんにお世話になってたの」
「あ、何かすみません…」
「ううん、そんな顔しないで!そんな事よりも、そっかぁ、飛雄くんと蛍くんがそんな事言ってたのかぁ」
「はい!きっとあいつら名前さんが可愛いからって気にしてるんですよ!」
「それは嬉しいなぁ。可愛い後輩にそんな風に思ってもらえて幸せ」
「俺も!俺も名前さんの事可愛いって思ってますよー!」
「ふふ、ありがとう翔陽くん。じゃあ2人にも私と龍ちゃんは幼馴染みよって伝えてね」
「うす!」
「おう、何の話だ?」
「あ、龍ちゃん。私達付き合ってるんだって」
「え…」
「え、ちょっと、何で照れてるの龍ちゃん!違うでしょ!」
いろいろズレてる
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