いつもの場所で

「じゃあ、今日はここまでだな!」

「「「お疲れっしたー!」」」


体育館に部員みんなの声が響く
懐かしい光景に、帰ってきたんだなぁと頬が緩んだ



「名前、ちょっといいか?」

「はーい」



大地さんに呼び止められ、ビブスを畳む手を止める
いつの間にか私の周りにはみんなが集まっていた



「名前、ちょっとごめんね」

「え?え?」



潔子さんが両手で私の目を塞ぐ
突然の出来事に戸惑っていると、ぱん!という破裂音が響いた



「「「名前(さん)、お帰りなさい!」」」

「わあ…!」



ぱっと潔子さんの手が離れると、目の前にはきらきらと降ってくる紙テープと大好きなケーキ
てっぺんに飾られているチョコのプレートにも[名前 おかえり]と書かれている



「みんな待ってたぞ」

「大地さん…」

「今日からまた、よろしくな」

「はい!」



嬉しくて嬉しくて、思わず大地さんに抱きつく
隣では龍くんの悲鳴に近い叫び声が上がった



「名前!俺にも!俺にも来い!」

「名前、俺だよな」

「スガさんわーい!」



わざと龍くんを無視してスガさんにも抱きつく
すると背中に何かがどんっとぶつかってきた



「名前さーん!俺にもー!」

「おい、日向!」

「お、やったな翔陽くん!」



よしよし、と頭を撫でると翔陽くんは嬉しそうに笑う
可愛いなぁとつられて笑うと飛雄くんが翔陽くんを殴った



「いてェ!」

「バカ、失礼だろ!」

「お前、俺の名前に手を出すなんて1億年早いんだよ!」

「ぎゃああああ!田中さん痛いっす!」



龍くん、飛雄くんに追い回されて逃げ惑う翔陽くん
そんな光景を笑顔で見つめている大地さんのジャージを、私はそっと引っ張った



「ん?」

「良かったですね、良い子達が入部してくれて」

「問題児ばっかりだけどな」

「でも、きっと烏野は強くなります」

「ああ、名前が帰ってきてやっと元の烏野バレー部に戻ったからな」

「今年こそ全国大会に出れるように私もサポート頑張りますからね!」

「よろしく頼む」

「はい!」

「名前さん助けてええええ!」



去年より少し騒がしくなった烏野バレー部
もう一度みんなと一緒に部活が出来る幸せを噛み締めながら、私は翔陽くんを助けに向かった



いつもの場所で
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