認識フレーズ

「あーあ、暇だなぁ」



今日は久し振りのオフ
特に用事もないから適当に女の子ナンパして遊びに行こうと思ったけど、なかなか良さげな女の子が見つからない
もう少しふらふらして収穫がなかったら岩ちゃんちにでも行こ、なんて考えていたら後ろから声を掛けられた



「あの、」

「ん?…っ!」



振り返った先にいたのは目を見張るほどの超絶美少女
ジャージ姿っていうのが少し残念だけど今まで出会った女の子たちとは次元が違うと言っても過言ではない程の可愛さに思わず固まっていると、その子はおずおずと話し出した



「足、痛くないですか?」

「…え?足?」

「いきなりすみません、でも、左足を庇うように歩いてたのでつい…」



左足、と言われて思い出すのは先日の練習試合
つい無理な姿勢でサーブを打ったせいで着地に失敗して捻挫したまままだ治ってないけど…
この子、良く気付いたな



「良かったら、テーピングしましょうか?」

「え?いいの?」

「はい、ちょうど買い出し中で道具も揃っているので」



にこりと笑うと俺を近くのベンチに座らせて手際良くテーピングを施していく彼女
ぼんやりと見惚れているとあっという間に処置は終わってしまった



「炎症が酷くなるようならちゃんと病院に行ってくださいね」

「うん、ありがとう」

「では、私はこれで」

「っ、待って!」



帰ろうとした彼女の手を慌てて掴んで引き留める
今まで何人もの女の子の手を握ってきたはずなのに、一気に顔が赤くなっていくのを感じた



「えっと…?」

「俺、青葉城西3年の及川徹、覚えておいて」

「私は烏野の苗字名前です、またお会いできるといいですね」

「そうだね、良かったら連絡先「ああ、部活始まっちゃう!ごめんなさい、失礼します!」



名前ちゃんは時計を見るや否や俺に背を向けて走り去ってしまう
だけどその背中に書かれた 烏野高校排球部 の文字に俺はにやりと口元を歪めた



認識フレーズ
(もしもし飛雄?お前のところのマネージャーの名前ちゃん、本気で好きになっちゃったかも!)
(はあああ?!)
(だからさ、名前ちゃんの連絡先教えて!)
(嫌です、名前さんに会いに来たりしないで下さいね、では)
(…うわ、アイツ切りやがった)
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