世話焼きと心配症

「名前、ちょっと大丈夫?」

「うん、平気ー」

「そんな顔色して大丈夫な訳ないでしょ!」



友達に支えられながらふらふらと廊下を歩く
朝起きた時は38度だったけど、下手したら少し上がってるかもしれない
皆勤賞欲しさに学校に来てしまった自分を恨めしく思った



「本当に帰れる?」

「大丈夫、ありがとね」

「じゃあ先生には早退したって伝えておくから」

「あ、あと」

「分かってる、田中にも伝えておけば良いんでしょ?」

「えへへ、さすが」

「じゃあ気をつけてね、早く治すのよ」

「うん、ありがとー」



ばいばい、と手を振って友達と別れる
途中何度も倒れそうになりながらも、何とか家に辿り着いた



***



「名前!」



窓から身を乗り出して名前の部屋の窓を開ける
そのまま部屋に乗り込むと、寝ていた名前がうっすらと目を開けた



「ん、龍ちゃん…?」

「お前、熱あんのに学校来んじゃねぇよ!」

「皆勤賞、ほしくて…」

「皆勤賞?!はぁ、お前なぁ…」

「あれ、まだ17時?部活は…?」

「大地さんに言って休ませてもらった」

「ええ!」

「だって、お前昔っから風邪引いてる時は俺がいなきゃ寂しいって泣くから」

「っ、泣いてないもん!」

「そうか?じゃあ俺帰るぞ?」

「…やだ」



わざと帰るそぶりを見せると、名前は俺の学ランの裾を握る
その姿があまりに可愛くて、名前の頭をぐしゃぐしゃと撫でた



「おら、寝ろ」

「でも…」

「起きるまでちゃんと俺はここにいるし、飯は母ちゃんに作って持ってきてもらうから」

「…ありがとう」

「日向も影山も大地さんもスガさんも、すっげぇ心配してたぞ。早く治して元気な顔見せてやれよ!」

「うん、龍ちゃん、」

「あ?」

「大好き」

「…っ!」



そのまま静かに寝息を立てる名前を見てがっくりと肩を落とす
俺の「大好き」とお前の「大好き」は多分意味が違うけど、でも、
お前が俺を頼ってくれるなら、俺はどこにだって行くから



「俺のが大好きだ、ばーか」



お前はいつもの笑顔で、笑っててくれよ



世話焼きと心配症
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