理屈は感情に勝てない

「名前さん!」

「お、どうした飛雄くん!」

「あの、今度「おーい、名前ー!」

「はーい!ごめんね飛雄くん、ちょっと待っててね」

「…うス」



大地さんの元へ走り去っていく名前さんの背中を見つめる
ぎり、と拳を握ると後ろから肩を叩かれた



「よ、影山」

「菅原さん!ちわス!」

「おう、何怖い顔してんだ?」

「別に、普段通りですけど」

「ははっ、俺には大地に名前取られて拗ねてるようにしか見えないけど?」

「っ、菅原さん!」



菅原さんの言葉にかぁっと顔が赤くなるのを感じる



「どうした、図星かー?」

「…最近、おかしいんですよね」

「へ?何が?」

「名前さんが誰かと仲良くしてるの見るとイライラするっつーか、こう、もやっとするっつーか…」

「うん、名前の事好きなんだろ?」

「…は?」

「え、自覚ナシ?」



俺が、名前さんの事、好き?
ぽかんとしてると菅原さんは腹を抱えて笑い出した



「本気かよ影山!」

「はっ、え、好き?!」

「もうそんなの好き以外の何でもないだろ!
いやあ、影山ってそういうの疎そうだなーとは思ってたけど、まさかここまでとは…っ」

「ちょ、やめて下さい菅原さん!」

「いやあ、悪い悪い。でも、」



一呼吸置いて真顔になる菅原さん



「名前は敵が多いぞ?」

「敵?」

「まず日向は間違いなく名前の事好きだな。月島もかなり気になってると思う。
田中は名前大好きオーラが全身から出てるし、大地も名前の事になると容赦ない」

「え、じゃあまさか…」

「ああ、さっきのはわざとお前の邪魔をしたんだと思う」



大地はえげつないぞ、と菅原さんはにやりと笑う
思わず身震いしたけど、でも、



「俺も、負けませんよ」



数日間悩まされたこの感情の名が恋だとするなら、



「勝ってみせます」



相手が誰だろうと、絶対
そうつけ加えると、菅原さんも満足そうに頷く



「ああ、頑張れよ!ちなみに、俺もその1人だから」

「名前さんどれだけ人気なんスか…」

「な!でもまあ、それがあいつの良い所だよ」

「そうっスね」

「じゃあ、お互い頑張ろうぜ影山」

「うス!」



誰にも負けねぇよ
呟いた言葉は誰の耳にも届かず、体育館に吸い込まれていった



「名前、ケーキ奢ってやるから今日一緒に帰ろうぜー」

「本当ですか?わーい!」

「ちょっと、菅原さん!」



理屈は感情に勝てない
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