愛を伝えて

―その日の夜― 
 
 
カチカチカチカチカチ 
  

「えーっと…花言葉、花言葉っと。」 
 

近藤は少しでも花に詳しくなろうとインターネットで調べていた。 
 
 
 
―赤いチューリップって愛の告白って意味なのか。ピンクは誠実な愛。 
花屋さんに花をあげてもなぁ………― 
 
 

「あっ!そうだ!」 
 

何かを閃いた近藤は引き出しを開けた。 
 
 
 
 
 
 
―次の日― 
 
 
 
「俺、似合わなくね?」 
   
『似合う似合わないの問題じゃないの!私がいない間は銀時がしっかりと働いてよ!』 
 
 
ナマエは昨日の晩、友人の銀時に電話をし店番を頼んでいた。
 
 
「つうか、お前どこ行くわけ?ちょっと良い着物なんか着ちゃって」

『うるさいなぁ!別にいいでしょ?』 

 
屯所へ持っていく花を仕分けしていると店の前にパトカーが停まった。 
 
 
「あっ…俺より花屋が似合わない奴が来た。オイッ!ゴリラ!ここは八百屋じゃねーぞ!バナナなんか売ってねぇから」 
 
「万事屋〜!何でお前が!!」 
 
 
ゴリラと言われるよりも店内にいる銀時にビックリする近藤。 
 
 
『銀時と知り合いなんですね?』 
 
 
「えぇ…まぁ知り合いというか。」 
 
 
ナマエの前でデレデレしている近藤を見て面白くない銀時。 
 
 
「ナマエー!こいつすぐストーカーになるから気をつけた方がいいぞ」 
 
『えっ?』 
 
「何でもないです!どれですか?運びます!」 
 
『あぁ。このダンボールに入ったやつです』 
 
 
近藤は大きいダンボール4つを車内へ運ぶ。 
 

『じゃあ、銀時。宜しくね』 
 
「へいへい。あっ…ちょっと待て」 
 
 
運転席から2人のやりとりを見ていると万事屋は、ナマエさんの肩に右手を置き少し屈んだ。 
 
 

―キス!キスしてる!友達に店番してもらうって言ってたけど、友達じゃなくて彼氏!?嫌だ。万事屋が彼氏なんて絶対嫌だー!― 
 
 
 
『お待たせしました!行きましょう。お花もダメになっちゃ…って、どうしました?顔色が悪いですよ』 
 
 
ショックを受けた近藤は青ざめていた。
 
 
「あの…」 
 
 
走行中、先に口を開いたのは近藤。 
 
 
「万事屋と付き合ってるんですか?」 
 
『えっ?付き合ってませんよ!飲み友達です!』 
 
「飲み友達!?好きな人とかでも無く?」 
 
『前に居酒屋で知り合って、それから仲良くなったんです。好きな人は………』 
 

ナマエは顔を赤らめて黙ってしまった。 
 
 
―良かった。違うのか… でもキスして……。― 
 
 
微妙な空気の中、屯所へ着いた。 


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