10'1215(Wed)00:05_0 もし転生した女性が重度のショタコンだったら 3
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私の両親は、揃って忍者である。
そこそこ優秀らしく特に隠密行動は得意だ、とは両親の弁だ。 元々気配が薄いのに加えて彼らは 『忍者とは忍ぶものなり』 というものを信条にしており、大抵は天井裏だとかいつの間にか作ったどんでん返しの裏側とかにひそんでいる。
…私が言うのもなんだけど、変な人たちである。
他にも忍者は顔を見られてはならない、という事も言っており外に一緒に出かける際には毎回変装をしてから出かけるという徹底振り。 はじめのうちは慣れなかったけれど、最近では『美形にして』とか『優しげな美女希望』とかリクエストまでしていたりする。 慣れって偉大だ。
生まれた頃から一緒にいるので、いくら気配が薄くても両親の気配は読み取れる。
それに、私相手だしそこまで気配は消していない。 ………やはり来客があれば全力で隠れるわけだが。
「あの子、本当に良い子ねえ」
「母さん見送るのならせめて天井裏から出てきなよ。 それからお隣さんくらい挨拶すれば良いのに」
「あら、したわよ。 ねえあなた?」
「ああ、勿論したさ。 ただし変装はしていたけどな!」
「それ意味なくない? 私一回『○君、お父さんとお母さんは?』って聞かれて思わず天井見上げちゃったことあるよ」
「それは駄目だな○。 そんなことでは立派な忍者にはなれないぞ?」
「私も天井裏に潜め、と仰るので?」
「それも良いけどそうなると困るわねえ。 誰か一人でも部屋の中にいないと、うっかりこの家誰かに貸し出されちゃうかも」
どうやら真剣に悩んでいるらしい唸り声が、天井裏から聞こえてくる。
ていうかそもそも、二人とも姿を現せばいい話なのでは。 まあこういう変わり者の両親だからこそ私の親が務まるのかもしれないけど。 …いや、逆か? 私だからこそこういう両親の子供が務まっているのか?あれ?
上を見上げすぎて痛くなった首をさする。 今日の晩御飯はどうしよう、例の如くお隣さんから一人前分の煮物を貰ったからそれを食べようか。
ほぼ毎日こうして晩御飯をおすそ分けしに来てくれる庄左ヱ門君がふりふりの大きめのエプロンをつけている幻覚が見えるんだけどそろそろ私、末期かな…。
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