≠バンビ
攻めミヨ






「今年の本命はだれ?」

大きなおめめをクリクリさせて聞いてくるミヨに内心、少しだけ殺意が湧いた。

「今年ってなに。今年、って」

「だって、なまえの本命は毎年違うから」

今年は上手くいくといいね、なんてミヨは笑ったけれど、私の本命はミヨと出会ったときから変わっていない。私の大本命は、ミヨだ。こんなこと本人に言える訳がないからミヨには毎年テキトーに答えていたのだ。だって私が告白なんかしたらミヨは困るに決まってる。ミヨに避けられてしまったりなんかしたらショックで死ねるだろう。そんな妄想で落ち込んでいると、ベチャッと嫌な音がした。


「あーあ。また失敗」

「ごめん…」

「なまえ、落ち込まないで。もう一回やればいい」

励ましてくれるミヨの笑顔が可愛すぎてツライ。そういえば毎年いっしょに作っているけど、ミヨは誰にあげているんだろうか。今更すぎる疑問を口にすると、ミヨは怪しく笑って口を開いた。

「知りたい?」

「もちろん知りたい!」

「本命の人には毎年あげてるんだけど、鈍感過ぎて気づかない。だから毎年ガッカリ」

「へぇ」

「ちなみに私は毎年三人にしかチョコをあげてない。そのうち二人は、バンビとカレン。この意味、わかる?」

本命を含め毎年チョコをあげるのは三人。そのうち二人はバンビとカレン。私は、毎年、もらってる、
意味を理解した途端、恥ずかしい気持ちでいっぱいになった。顔が熱い。ミヨはそんな私を見てクスクス笑っている。誰だと思う?って、そんなの私しかいないじゃん。


「わた、し」

「正解。けど、遅い」

「ねぇ、抱きしめていい?」

「…いいよ」

そう言ったくせにミヨは私が抱きしめようと伸ばした手を引っ張って、唇をくっつけた。チョコの味がするとか、唇柔らかいとか色々あったはずなのに、いきなりキスされたせいで私の頭は現状に追いつかなかった。ミヨは舌をちょっと出して嬉しそうに笑っている。ああもうこの小悪魔め!






オール マイ ラヴ イズ ユー!








(120214/ときメモGS3)
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