久しぶりに長期の有休が取れたので、イギリスへ旅行に行くことにした。一応イギリスには「明日そっちに遊びに行く」とメールを送ったのだが、返信がないところをみると彼も忙しいのだろう。今回は会えないかも。ちょっぴり寂しい気持ちで荷物を詰め込んだトランクを閉めた。



飛行機から降り荷物を受け取ってゲートを出ると、そこには見知った金髪がいた。一次停止してしまった私に気づいたらしいイギリスは笑いながらこちらへ向かってきた。うわ本物のイギリスだ。というかなんでこんなところにいるんだろう。

「相変わらずのアホ面だな」

「な、なんでこんなとこにいるの?」

「今日来るってメールくれただろ…あ、返信してなかったな。わりぃ。もしかして暇じゃなかったか?」

「ううん大丈夫だよ。今日はイギリスがエスコートしてくれるんでしょ?」

「おう!」





あの後、イギリスに色々な所を案内してもらった。今日予定入れとかなくてよかったなぁ。そんなことを考えながら目の前に広がる夜景を見ていると、いきなり手を握られた。ビックリして、うぎゃ!と叫ぶと隣に座っているイギリスが堪えるように笑い始めた。我ながら色気もくそもないと思う。あーあこれじゃムードも台なしだよ。

「は、はははっ!」

「笑わないでよ!」

「すげーマヌケな、ははっ、声、」

「…イギリスの馬鹿」

「わりぃわりぃ、つい面白くてよ。本当お前は変わんないよな」

「馬鹿にしてるでしょ」

「違えって。ところでよ…お前がよかったら、ここに住まないか?」

「イギリスに?無理矢理。一人で暮らすの大変そうじゃん」

「そういうことじゃなくて!あーもう…ほんと鈍感だよなぁ」

「どういうこと?」

「俺と結婚してください、って意味に決まってるだろ!」

「は?え?」

「…もう言わねーからな」

「イギリスって私のこと好きなの?」

いきなりの展開に頭がついていかず、思わず聞き返してしまった。するとイギリスはこくりと頷いてそっぽむいてしまった。ちらっと見える耳が真っ赤で思わず笑ってしまう。英国紳士はどこにいったのかは置いといて、好きな人からのプロポーズを断るわけにはいかない。イギリス、と名前を呼ぶと渋々こちらを向いたこちらを向いた。

「私もイギリスのこと好きだよ」

「ほっ、ほんとか!?」

「こんな私で良かったらお嫁さんにしてください」

「…よっしゃー!!」

道端でぎゅっと抱きしめられておでこにキスをされる。ヒューと言う声から通行人に見られているのが分かる。いくら外国では普通だといってもこれは恥ずかしすぎる。上を向けば、イギリスが幸せそうに顔を赤らめてこちらを見ていた。

「ちょ、恥ずかしい!」

「いいじゃねぇか別に」

「ここ道端!」

「ばーか。ここは俺の国だぞ」

なんなのよもう。自棄になってイギリスの背に手を回すと、通行人のヒューという声がいっそう増えた。恥ずかしくて顔から火が出そうだ。けどイギリスの顔が幸せそうだからまあいっかなんて思ったり思わなかったり。









ここはロンドンだって知ってた?(110327:ヘタリア)
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