「もし私が君を好きだと言ったら、君はそれを信じるかい」

「信じない」

「そうだね、私たちの嘘なんてその程度なんだよ。宇宙人じゃないことなんてすぐバレて暇を持て余してる世間の話のネタにされるだけさ」

はん、と馬鹿にしたように涼野は鼻で笑った。仮にも私のチームのキャプテンなのだからと敬語を使っていたのだが、彼がいらないと言ったので使うことをやめたのは記憶に新しい。最近の涼野はやけにおかしいのだ。ましてや自分やお父さんを嘲ることなどなかったのに。その変化が善いものなのか悪いものなのか私には分からなかったが、前よりも涼野が近くに感じられるのはたしかだった。

「涼野は、」

「ガゼルだ。グランに聞かれたら面倒だからな」

「ガゼルをやめたいの?」

「…さぁどうだろうね。サッカーは好きだし父さんにも感謝しているけど、私はグランやウルビダのようにはなれないよ」

盲目的な愛ほど厄介なものはない。それは手から落ちていく砂のように軽くて、重い。そして受け取ってもらえなくなった愛は砂になってボールを蹴って過ごしている私たちの足を絡めとってしまうのだ。涼野は頭皮が痛むんじゃないかというくらい頭を掻きむしった。たぶん自分でも分からなくてもどかしいのだろう。そんな涼野の足首が砂に埋もれているのが想像できる。その砂をこれ以上見ぬようにと閉じた瞳は気付かぬうちにカラカラに乾いていた。










あとは亡びてさようなら(110112:イナズマイレブン)
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