∴かっこいい当麻
「わたしも、殺されちゃうのかな」
今まで出会ってきたスペックホルダーは、もうほとんど残っていない。一はスペックを神の力と呼んでいたが、私はそうは思えなかった。こんな力がなければ私はふつうに生きていけたのに。
「私が死んだら毎日出してね。寂しいのはいやだから」
「めんどくさ」
「つめたい」
「…つーか死なねーし」
「そんなのわかんないよ」
「アンタはアタシが守ってやるっつってんの」
当麻のその言葉に張りつめていた涙腺が緩んだ。いつか殺されてしまうような気がして、すごく、すごく怖かった。
そんな私の恐怖を当麻は見抜いてしまっていたらしい。子供のように泣く私の頭を、当麻は優しく撫でた。
(左手の感覚無くす前の話)