★両想いにはまだ遠い(サンプル)


P20 / ¥200 / A5 / コピー / 2018.04発行

告白する女子があとを絶たないモテモテ沖田先輩と、そんな沖田先輩に片想い中の千鶴ちゃんのお話。
※文字サンプルは一部改変したり、ウェブでも読みやすいように改行を増やしています※





★画像サンプルはお手数ですがこちら(Pixiv)をご覧ください。
※頒布終了したものは公開終了しています。


沖田先輩はすごくモテる。
薄桜学園の情報通によると、表沙汰になっているだけで月2回以上のペースで告白されているらしい。
つまり一年で二十四人。
クラスの女子全員に告白されても足りない人数。

それに加えて非公表の告白者までいる。
そっちの人の方が多そうだから、たぶん年間に通算すると……
とんでもない人数になってしまう。
今日だってわざわざ剣道部の朝練を覗きにきている子たちがいて、沖田先輩が休憩に行った途端に話しかけて――
武道場の裏へと消えていった。

それが気にならないはずもなく……。
マネージャー仕事をしているふりをしながら、ドリンクボトル片手にその後ろを追いかける。
武道館の裏手は普段人が立ち入らない日陰のどんどりとした場所。
フェンスの先には自転車置き場があるけど、そのフェンスが目隠しになっているから人目もあまりない。
人に聞かれたくない話をするなら、まぁまぁの場所だろう。

武道場の壁際から覗き込むようにするけれど、遠くて声までは聞こえてこない。
今回は女子が二人。
たぶん沖田先輩と同じ二年生……。
片方はキラキラふわふわしていてすごく可愛くて、もう片方の人はスラッとしていて美人さん。
もう、気が気じゃない。

「二人ってことは……片方は付き添いかな?」

友達同伴で告白なんて、度胸があるのかないのか理解ができなかった。
でも沖田先輩が相手の場合なら、付き添いがいるほうがうんと気が楽だということは何となくわかる。
遠くで女子二人が沖田先輩になにかを言っている。
沖田先輩は少し困った顔をして笑って、その後に女子二人は揃ってぺこぺこ頭を下げていた。
時間にしたら一分にも満たないやりとり。
でもここからではどういった会話をしているのか……

「……また、ごめんなさいかな? それとも……」

結果が気になる。
ぽつりと零した独り言は、そのまま風に流されてしまうはずのものだった。
だけど今日ばかりはそれを掬い取る人物がすぐ後ろにいた。

「総司のやつ、付き合う気がねーならああいう態度とらなきゃいいのにな」

突然返ってきた言葉に身体をびくつかせ、恐る恐る振り返ってみれば、そこには幼馴染の平助君と、その同級生の斎藤先輩が身を低くしていた。

「へっ平助君!? ……斎藤先輩も、どうして」
「静かにしていろ雪村。ただの偵察だ」

驚く私を余所に、二人は平然としたまま沖田先輩のほうを観察……もとい偵察し続けている。



こんな感じの話です(´∀`*)




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