★みかんのあじ(サンプル)


P16 / ¥200 / A5 / コピー / 2017.11発行

屯所パロの沖田×千鶴。
人目も憚らず恋に積極的な千鶴と、邪険にする総司の話。

※文字サンプルは一部改変したり、ウェブでも読みやすいように改行を増やしています※






★画像サンプルはお手数ですがこちら(Pixiv)をご覧ください。
※頒布終了したものは公開終了しています。



世の中には理解しがたい現象が数多に存在し、その全てを気に留めていては何も成すことができないだろう。
総司は己が気に留めるべき物事は最小にしておきたかった。
自分の存在理由である近藤に関する事だけに集中していれば、他になにも必要ないはずだったのだ。
ところが最近、周りに異物が如く紛れ込んできたものがある。
目の前をうろちょろされて実に不愉快だ。

ぽかぽか陽気の昼下がり、乾いた洗濯物を抱えながら不審な動きを見せていた千鶴を、総司はたまたま見つけた。周
囲をきょろきょろ窺いながら広間に入っていく姿がどうにも怪しくて、どうせまた良からぬことを考えているのだろうと踏んで突入してみれば、案の定――。
彼女は総司の着物を羽織って、だらしない笑顔でくるくる回っていた。

「……ちょっとソレ。僕の着物だよね、何してるの!?」
「お、沖田さっ……あ、あのっ、これは……っ」

目撃されたことが恥ずかしいのか、瞬時に耳まで真っ赤にさせている。
口元をもごつかせながら慌てるその姿は、もう見飽きた。

「これで何度目? なんで僕の服で遊ぶのさ」
「え、えと……大きくって、つい……」

そう、常習犯なのだ。
そりゃあ小柄な彼女にとって男の着物は、つい自分と大きさ比べをしたくなる代物なのだろう。
そこまではわかってあげれなくもない。
だが――

「だったら僕のじゃなくていいでしょ。左之さんや島田さんだっているのに」
「それは……沖田さんのが、丁度良くて……」

何が丁度いいものか。
総司よりも大柄な男は他にもいる。
それなのに千鶴がいたずらするのはいつも総司の着物や羽織だ。

「洗濯してくれるのは有り難いけどさ。ほら、脱いで」

人の物で遊ぶのは止めろという意味合いを含めながら注意すれば、千鶴の「悪癖」が始まってしまった。

「えっ、こ、ここで裸になれってことですかっ?」

……なぜそうなる。全部脱げとは言っていない。
誰がそんなことを言うものか。

「違うから。僕の着物を返せって言ってるの」

冷たく言い返すと、あからさまにしゅんと落ち込まれた。
だが気にしてなどいられない。
千鶴が名残惜しそうに脱いだ着物をすかさず奪い返した。
本当ならばここで広間から立ち去ってもいいのだが、彼女の足元には外干しから取り込んだばかりの衣類がたくさん残されていて、もちろん総司の服もいくつかある。
それらが千鶴の新たな餌食になるのを防がなくてはならず、しぶしぶ手を差し伸べた。

「今日は特別に手伝ってあげるから、さっさと片付けよう」

そう言って、洗濯物の中から自分のものだけを選んで取り出し、さっさと畳み始める。
すると千鶴は嬉しげに頬を緩ませ、隣にぴったりと座ってきた。
そして、うっとりとした表情でお礼を言われる。

「ありがとうございます。沖田さん、優しいです」



…………どういうわけか好かれているらしい。



最初の頃はここまであからさまな態度ではなかった。
真っ赤になって恥らう様子が面白くて、ついつい構ってあげていたのがいけなかったのか。
それが原因かはわからないが次第に……奇妙な反応へと変化してしまった。
恐らく千鶴の中で総司への気持ちが確立してしまっただろう。
からかって遊ぶのは楽しいから好きだけど、本気になられてしまうと正直扱いに困る。
色ボケとも言える行動の数々にも手を焼いている。



こんな感じの話です(´∀`*)




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