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ゾロ




肉ー!と騒ぐルフィを横目にそっとその場を抜け出す。酔いすぎたのか首から上が熱い。それを冷ますように風当たりのいいところまで来ると瞼を閉じた。
「飲むペースが早すぎだ」
「うわっ!」
「隣いいか?」
私が驚きすぎて心臓を落ち着かせる前に隣に並んでくる。その彼を見ながら胸に当てた手を彼の肩に振り落とした。
「怖いから脅かすのやめてよ!」
「気配に気づかねェお前が悪い」
酒を一滴残らず飲み干そうとジョッキを傾ける彼に、酔い醒ましに来たわけじゃないことは一目でわかる。何か用事かと目を向ければ、腹巻の中に手を突っ込んだあと私に差し出した。
「クリスマス?とかいうやつだろ。おれからのプレゼントだ」
「え、覚えてたの」
ゾロは基本イベント事や記念日は覚えてない。今一緒にいるんだからいいだろと考えてるらしい。だからクリスマスも覚えてないんだろうなと思っていた。なのにちゃんと赤のラッピングにメリークリスマスと飾りまでついたプレゼントだ。
「何回もこの季節がくれば覚える」
その言葉に私たちの仲が何年目か思い出し泣きそうになってしまった。プレゼントをあげて喜んでもらうクリスマスもいいが、貰うのはこんなに嬉しいのだと初めて感じ、彼の腕に抱きつく。
「ありがとう」
「あァ」
少し涙声になっていることに気づかれませんように。

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テーマ「人外ファンタジー」
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