安酒じゃ許してあげない

たまたまコントラクシアの路地に来ていた。今はお酒飲む気分じゃなくて情報が少しでも集まればいいなという気持ちで路地をさくさく歩いていたのだが、角の向こうから聞こえる声に足を止めた。

「それもつけるなら私と情報で3でいいよ」
「いや、2だ」
「うーん2.5」
「……それでいい」


了承の声と共に私がいるほうとは逆に2人で歩いていく。男の声はどう考えてもヨンドゥだった。毎日のように聞いてるから間違えない。これから2人が何するかなんて確かめなくてもわかることで、その場にしゃがみため息をついた。

「仕方ないか、ヨンドゥも人だし」

コントラクシアの店の子を抱くのは気にしてない。でも、その辺の子を抱くのはなぜか気に入らなかった。



ヨンドゥが帰ってきたのは私が帰ってきてからさらに4時間ほどあとだった。私は帰ってきて早々酒を飲み、今10杯目に入ろうとしているところだ。

「なんだこのべろべろの酔っ払い」
「帰ってきてからずっとこうで、」
「何か拗ねてんのか」
「違う、拗ねてない。ヨンドゥが悪い」

その一言であ?と機嫌の悪そうな声をだすが、気にせずに顔を背けたまま続ける。

「コントラクシアの店以外の子抱いたじゃん……見てたんだからね」
「あそこにいたのか。へぇ、それで拗ねて酒飲んでるって?」

「だから拗ねてない!」って言おうとしたのに顔をあげてみればしたり顔で酒のジョッキを持っていて言葉に詰まった。何その顔、私は怒ってるんだけど!

「○○、こっちこい」
「やだ」

すごく頬を膨らませ訴えたのに彼はいつもより機嫌のいい声色で「そうか」と言ったあと私の腰を引き寄せる。機嫌取りでもするのかと体を引こうとするけど少しも動かない。あろうことか頭を胸に押し付けられた。苦しいし、まだ許してないという意味をこめてバタバタと暴れて色んなところ叩いてみるがだめだった。そのまま首が痛むんじゃないかってぐらい真上に顔をあげさせられ口付けられる。

「ガキは素直なのが一番いいな」

歯を見せにっとニヒルに笑うヨンドゥに「まだ許してないから!」と叫んでも気にせず酒を煽っていてもう一度口が塞がれるまで嫌味を言い続けた。

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