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キッド




船にクリスマス要素を足したくて全部飾り付けしようとしたけど、キラーに止められてしまい食堂の隅にツリーを置くのが精一杯だ。
キッドのような赤のオーナメントに、キラーのような黄色の星。きらきらと光る大きなクリスマスツリーがよく見えるように、一番近い席で毎日ご飯を食べていたらみんなに馬鹿にされたりもした。でもそれも今は全て無くなった。なぎ倒されたツリー、粉々の飾り、見るも無残な姿で食堂に落ちていた。
「その、乱闘になってな……」
「いいよ、日常茶飯事だし」
キラーに思ったより冷たい声が出てしまい自分でもびっくりする。気にせず、落としていた目線を上げ、「片付けるね」と笑えばキラーは勢いよく後ろのキッドを振り向き拳を握っていた。


「キッド、早くあや」
「あァ?うるせェ!わかってるそんなこと!」
八つ当たりで机を叩こうとするが、キラーが殺気を溢れさせているのを見てやめる。おれが机みたいに殴られるのは勘弁だ。
「じゃあ、さっさとやれ!」
怒鳴り散らし、部屋から出ていくキラーの背を 見送ったあと思いっきり机を殴る。謝らなきゃいけねェことぐらいわかってんだよ、馬鹿が。殴った反動で山積みから落ちてきたラッピングされた袋を持ち上げ、部屋を出た。
「……悪かった」
投げたプレゼントをキャッチしたのを見て謝る。彼女の顔はひどく暗かった。
「なにこれ?」
「クリスマスプレゼントだ。捨てるも壊すも好きにしろ」
それだけ言い彼女の部屋から去ろうとしたらコートを掴んで引き止められる。それを振り払うことなく立ち止まった。
「ありがとう……ツリーはもう気にしてないから、このプレゼント大事にするね」
ツリーはもう直したが、まだ言わなくてもいいか。抱きついてくるこいつの頭を何度か叩いた あと「宴につけてこいよ」と言い今度こそ部屋を出た。

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