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クロウリー




ヤドリギは楽園にあった聖なる木、ボールの飾りは知恵の実、などなど全て※諸説ありとつくのが面白い。人間は残った書物からほぼ正解まで辿り着く勤勉な種族だ。それらの記事が載ったiPhone?とやら机に置いた。
「キリスト教の祝いに、アダムとイブの楽園。私たち二人の分野だね」
「私たち?お前たちの、だろ。家から一歩出ればそこらじゅうに愛が満ちて、神聖なものが置かれて。考えただけで寒気がする。今年はどんな悪事をしてやろうか」
神聖なものを思い浮かべたのか、両腕で自分を抱き、震えている。その彼に少しだけ寄り添った。
「じゃあ私とデート行ってくれないの?」
「それとこれは話が別だ。天使の祝福を監視しないといけないからな」
「私は悪魔を監視しないとね」



監視って言葉は便利だ。それのおかげで隣に並べる。周りのカップルに紛れて私たちはツリーがライトアップされるのを眺めていた。青、緑、黄と色とりどりに変わるたび光が当たる彼のサングラスと髪を見る。何気なく彼のもみあげにあるタトゥーをなぞれば、飛び退かれ私のほうが驚いてしまった。
「急に触るなよ!」
「ああ、ごめんね。触っていい?」
「触っていいってなんだ。いいけどよ」
もう一度触ろうと手を伸ばせばその手を掴まれ引き寄せられる。私の耳元で「奇跡降らしてくれよ」と聞こえた次の瞬間、私は空から雪を降らし、周りの視線が上を向いている間に静かに唇を重ねた。

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