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レイリー




シャボンディにもこどもはいる。特に私が住んでいる辺りにはかなり多い。だから友人の家で開かれるパーティのお手伝いも話が来てすぐ引き受けた。その日の夜行きつけのぼったくりバーで恋人のレイリーさんを見ていたらサンタに見えたのは、彼が白髪で髭があるのが悪いってことにしておこう。最終的に何をしたかと言うと頼み込んでサンタ役になってもらったのだ。「海賊王の右腕が今やサンタ。可愛いじゃない」とシャッキーにからかわれるのを見てヒヤヒヤしたのは内緒だ。
「サンタをするのはいいが、貸しと捉えるぞ」
「全然構わないです。必ず返します」
「何をしてもらおうか」
最早敬語だ。それほどに酔った頭でレイリーさんのサンタ姿を見たいと思ったのだから仕方ない。でも私に何をさせるかと考えている楽しそうな笑みには苦笑いしか返せなかった。



「Merry Christmas! 子供たちよ、今年はいい子にしてたかね」
こども達と言葉を交わし盛り上がっているのを一歩下がって見守る。こどもとしゃべる彼は見たことがないから心配だったのだが、大丈夫そうだ。騒がしいリビングからそっとキッチンに入り、忙しくて食べれなかった軽食を口にしつつ彼のお酒と軽食を準備する。
「はぁ、子どもは元気すぎるな。いいことではあるが」
「おつかれ、飲むでしょ?」
シャンパンなんて彼からしたらジュースだろうが、渡せば乾杯までしてくれてイベント事だからと上がっているテンションが更に上がった。
「そうだ、 借りの返し方決めたの?サンタのままするとか?」
「それでもいいが、私がサンタに嫉妬しそうだからな……帰ってからのお楽しみだ」
腰をぐっと抱かれ彼との距離が0になる。向こうの部屋には子どもも友達もいるのに、と少し気になるが今ぐらいいいだろうと唇を重ねた。
ガタッ
「!?」
明らかに部屋の外からの音に慌てて彼の胸を押し返す。名残惜しそうにでも素直に離れていく唇から扉へと意識を移せば先程誰かいたような開き方だ。おかしいと彼と目を合わせたと同時に「Mam! I saw mommy's friend kissing Santa claus!!」と騒ぐ声が聞こえ、やってしまった……と笑う彼の胸に埋もれた。

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