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デッドプール




クリスマスなんて関係なしのウィーゼルのバーに足を踏み入れれば、入ってすぐのところでウィーゼルがやる気なさそうに手をあげた。
「やっほーウェ、」
「あー、ウェイドのとこ行くなら気をつけろよ、おれは忠告したからな」
ウィーゼルの死んだ目でテーブルの端の席を指され、見ればサンタ帽子を被り、緑のセーターを着た男の背中が見える。
「あれ、ウェイド……?」
あんな全身赤いの一人しかいないのだから間違えてないんだけど、信じたくないぐらいクリスマス浮かれ野郎だ。
「あ、○○ちゃんやっほー!」
「Hi〜」
「見てよ、おれちゃん最高にキュートでしょ?」
「Kiss me under the mistletoe"ヤドリギの下でキスして"?」
キュートとかそんなところよりセーターのデカデカとした文字が目に入る。ぱっと見ればただのクリスマス定番の文字だが、ヤドリギがついてる場所は無視出来ない。
「よくそんなこと思いつくね」
「褒めても○○ちゃんに○○○○ぐらいしかできないよ」
「褒めてない、ゴミクズ野郎って言ってんの」
デップー風に言うならおれちゃんのおれちゃんなところにヤドリギがついてる。つまりそういうことだ。これ以上話してると要求されかねないと背中を向けた。
「今日は帰るよ。また頭が吹っ飛んだら呼、うわっ」
「今日帰すと思ってるの?……ッグゥ」
痛いほどに掴まれた腕を離して欲しくて振り返れば、マスクの白い細い目が私をじっと見ていた。べらべらと動く口が一段と低い声を出し、私を動けなくする。真剣な彼にペースを取られると思った瞬間にみぞうちへと拳を入れていた。
「いった、げぇー吐きそう。まって○○ちゃん、おれちゃんのゲロその手で受け止めて……」
「ウェイドのばーか!」
ゴミ野郎、クソ、もう汚い言葉の数々を吐きまくりながら逃げる。真剣なウェイドにちょっと気を取られたとか、口にキスならするのになとか考えたことは脳みその隅に追いやる。絶対あそこにキスなんてしてやらない。数時間後ウェイドが家にあの服のまま突撃してくるまで、悔しいことに私は家でウェイドのことばかり考えていたのだった。









※「デッドプール ヤドリギ」と検索するわかりやすいと思います。

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