1/1 エース
「隙あり!」
そう言いながら帽子をかっさらえば慌てたようにこっちに手を伸ばしてくる。
「おい!帽子とるな!」
「ここまでおいで!」
モビーディック号を駆け抜け甲板にでた。
「エース!誕生日おめでとう!」
甲板で待ち受けてる兄たちと料理の数々の前で振り返り腕を広げると、目を見開いた後泣きそうな顔をする。
「エースのことだからしんみりしてると思って、私たち兄妹からのプレゼントだよ」
おめでとうと兄たちが口々に言うと下を向きいつもの帽子をさげる動きを無意識にしていて、何も無い頭に帽子を返した。
「生まれてきてくれてありがとう。……愛してるよエース」
「……ありがとう」
そっと抱き締めれば倍以上の力で抱きしめられ涙声で返してきたから少しでも兄たちに見えませんようにと彼の頭を肩に押しつけた。
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