3/14 スモーカー

早急に会いたくなり仕事を投げ、執務室に押しかける。扉を開けた時の彼の顔は「なにしてんだ」と言いたげだった。

「会いたくなっちゃった」
「お前は夜すら待てないのか」

ソファに座りテーブルに書類を広げているから整理でもしているのだろう。珍しく吸いたての葉巻が置いてある灰皿に、彼の後ろから手を伸ばし勝手に取る。「おい」と咎めてくるのを無視してゆっくりと吸い込み、横から彼の顔に吹きかけた。

「……なんだ」
「ハッピーバースデー、これがプレゼント……バレンタインのお返しは?」

私の顔を見て眉を寄せたあとソファの足元にあった紙袋を渡される。中身を覗く前に襟首を掴まれた。

「それ持ってさっさと戻れ。それと、お前のプレゼントちゃんと中身を詰めて持ってこいよ」

ぽいっと投げるように執務室から追い出され立ち上がる。後半の言葉は挑発とみていいだろう。あとで絶対狼狽えさせてやると決め脳内で何してやろうかと考え始めた。

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