10/5マルコ

誕生日おめでとう。そう言おうと思いプレゼントを持って部屋まで行く。個室の扉を開けば彼はいつも通り書類仕事の途中だった。

「少し時間いい?」
「あァ、おれもお前に用があるんだよい」

「なに?」と聞く前にプレゼントを持ってない手をとられ壊れ物を扱うように握られた。

「いつもそばにいてくれてありがとうな」
「な、なにそれずるい……私がありがとうって言う日なのに……」
「それはいつも言ってくれてるだろ?」

手を握る暖かい手や、私を見つめる優しい目にじわりと潤む。ぎゅっと眉間にシワを寄せ耐えた。

「誕生日おめでとう。……生まれてきてくれてありがとう」
「ありがとう。顔歪んでるよい」
「誰のせいだと……」

私の恨み言を無視するように頬を両手で包まれ、目を合わせたあとゆっくりと唇を寄せた。

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