10/11 イヌアラシ公爵
積み上がるプレゼントの数々。ラッピングされたものもあれば、魚を丸ごとみたいなのもある。公爵はそれらを見て笑っていた。
「また数がすごいな。これはワンダからか?」
「そうです!公爵様のために他の島から取ってまいりました」
プレゼントを見ただけで誰からかわかってしまうのはすごい。さすが長年の付き合い。私はというとプレゼントは持ってきたけど、どこに置いたらいいか分からなくてまだ手の中。目線をさまよわせていると公爵がこっちを向いた。
「ゆガラは何かくれるのか?」
「あ、持ってきてるけど、公爵に見てもらうの最後がいいな」
「どうしてだ?聞かせてくれ」
「公爵の記憶に一番残りたいから……」
自分で言っておきながらなんて傲慢で、わがままなのだろうと顔が熱くなる。二人っきりのときならまだしもみんながいる前で言うなんて。
「……仕方ねェな〜」
「それでもわたしが一番だと思うけどな!」
「その代わりあとですりすりさせろよ」
口々にみんなが仕方ないと言ってくれ、公爵のところまで押し出された。
「っわ、」
「ゆガラらがそう言ってくれるならそうしよう。全てを見終わるまでここにいてくれるか?」
そう言い大きな足の上に移動させられ公爵のお腹に背中を預ける。こんなに密着しているとドキドキが止まらなくて顔の赤さが引かない。箱握りしめないようにしなきゃ、と下を向いていればそっと頬に手を当てられ首元を甘噛みされた。
「ゆガラのその顔のほうが、私の記憶に焼きつきそうだ」
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