9/9 ホーキンス
「今日は何食べたら全体の運気下がるとかある?」
「特にはない。食べること自体に吉と出ている」
わかったと歩きだそうとすれば後ろから「果物はいちごだとなおよしだ」と聞こえ今日のケーキはショートケーキにするか。と気合いを入れるため袖をまくった。コック監修の元、生地を型に流すところまでできて、その間にいちごを切ろうと包丁に手を伸ばす、「まて、触るな」と急に声がかかり肩が跳ねた。
「どうしたのホーキンス」
「今日のお前は刃物を触るのはいけない。運気が下がる」
「あー、じゃあコックにお願いするよ。ホーキンス何かしてほしいことある?」
「おれの隣に座って待ってればいい」
カードを混ぜる彼の横に座り占いをするのを見つめる。彼は私が隣にいてほしいから料理を遮ったわけではなくて、本当に運気が下がると思って止めてくれている。ホーキンスにもっと私欲で求められたい私は占いの区切りのよさそうなところで彼を遮った。
「もっと手を繋ぎたいと思ったら繋いでくれていいし、したいこと言ってもいいんだよ」
「おれはそうしてるつもりだが」
「足りないなー。誕生日だから、ホーキンスが望むことなんでもしてあげるのになー」
わざとらしくアピールすれば少しは届いたらしい。考える動きをしたあと顎に指がかかった。
「おれの隣にいろ」
「さっきと変わらないじゃん」
「今日が終わるまでだ」
仰せのままにと大袈裟な動きでお辞儀したあと彼と腕を組む。ケーキはコックおまかせだなとか考えることはいっぱいあるけど、気にせず彼に「今日のホーキンスの運勢は最高だからね」と私の根拠も何も無いけど、想いを込めた占い結果を高らかに発表しておいた。
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