ジャブラ


「それ悪魔か?」
「違う羊」
ふわふわとした白い服を着てごつい角を頭につけている私は、ジャブラに軽く頭突きする。みぞうちには入らなかったらしい残念。
「なにすんだ!だいたいハロウィンなら魔女とかだ狼牙。なんで羊なんだよ」
「あんたに合わせてるの。ほら、半獣になって」
大人しく狼になる辺り可愛い。これで全部完成だ。
「完成、いつだって羊は狼に勝てないでしょ。私もジャブラに勝てないし。ぴったりじゃない」
「お前はあっさり食べられるもんな」
「うるさい」
指銃を彼に飛ばすけど易々と避けられる。なんならその手を近くのテーブルに勢いよく押さえつけられた。
「痛いんだけど、」
「この手どけれたらお前の勝ちだ。剥がしてみろよ」
ニタニタと笑う顔に腹が立ち、押さえられている手に爪を立てつつ剥がそうとするのに、その間に彼の片手は首や腰にまわってきて撫でてくる。くすぐったい。早くしないと、と焦り手首を持ち捻ろうとするのに少しも動かない。それどころか手が背中へあがってきて体が震えた。
「もう終わりか?子羊はやっぱり食べやすくていいなァ!」
その発言にムカついたから指銃を勢いよく手に振り下ろせば、鉄塊で遮られたが、少しは効いたらしい。
「かァー!本気でやるやつがいるか!遊びだ狼牙!」
「腹が立った」
ちょっと酷いことしたかとジャブラの頬にキスしてあげれば「捕まえた」と笑われ、してやられたと今更気づいた。

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