ジャックオーランタン

エース


かぼちゃの模型をなるべく怖い顔にくり抜き、頭に被ってサイズ、位置を確かめる。あとは下に真っ黒なコートを着てランタンを持てば完成。ジャックオーランタンだ。
「こんにちは、Trick or Treat」
「うわっ!……なんだ○○か」
「Trick or Treat」
「何してんだよい」
さっきからこんな反応ばっかり。もちろん驚いてもらうのは嬉しいけど「何してるの?」って今日ハロウィンでしょ!マルコには悪戯をしようとしたら、お菓子を握らされた。
「エース、Trick or Treat」
「それ、なんの格好なんだ?」
「ジャックオーランタン」
答えればポケットをガサゴソと漁ったあと飴玉がひとつ転がり出てきた。
「こんなんしかないな。小さい悪戯ならいいぜ」
「小さい……ちょっと待ってて」
慌てて部屋に戻り失敗作のそれを掴んで走った。
「これ!つけて。仲間増殖ってね」
「へェ、いいじゃねェか」
笑ってかぼちゃを頭に被りランタンを渡せば危ないからとつけなかった火をつけてくれた。
「こうすれば、鬼火みてェだろ……蛍火!」
私たちの周りに舞う緑の炎。本当に鬼火みたいだ。「危ない」と腕を引かれ密着して鬼火を見つめる。鬼火に囲まれ甲板に来る人たちを脅かしていれば、マルコが鬼の形相で「火を消せ」と言ってきてかぼちゃの被り物をしたまま大笑いした。
「サッチからお菓子奪いに行くか?」
「当たり前」
手を繋いで走り出して、かぼちゃが邪魔でキスすらできないけど、こんな日も悪くないと二人で船中の仲間からお菓子を奪い取りに行った。

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