恐竜

ドレーク


見よう見まねだけど、爬虫類のような模様を頬と片目の周りに書き、瞳を黄色にすれば少しは恐竜に見える気がした。
「ドレークさんTrick or Treat」
「トリ……?なんだそれは。まてその顔もなんだ」
「Trick or Treat!お菓子くれなきゃ悪戯するぞ!だよ。この顔は恐竜。似てる?」
私の化粧を施していない辺りを指で撫でてくれるのが心地いい。
「特徴は掴めてる、いいんじゃないか。お菓子、お菓子は今持ってないな」
「じゃあ悪戯ね」
即座にそう言い彼と鼻がつくぐらい詰めよれば肩を押し返された。
「まて、その悪戯のレベルはどれくらいな、」
「待たないよ」
肩を押し返す力は強いけど、それを無視して彼の顔に近づき、鼻に噛み付く。そんな強く噛んでないから跡は残らないはずだ。最後に驚いた顔してるドレークさんに「がおー!」と言えばおしまい。怒るかなと彼を見れば私から顔を逸らしていて、照れてるのかもと顔をこっちに向かせようとする。すると、二の腕を掴まれいつの間にか体制が追い込まれるような形になっていた。
「ド、ドレークさん?」
それに顔が半分恐竜になっている。逃げようにも黄色い瞳に睨まれ動けない。
「恐竜だったらこう鳴け、Grrrrrrr……!」
耳が飛びそうな程の大きな咆哮に、耐えていれば、顔全体が入るんじゃないかってぐらいの大口を開けられ、食べられる!と目を閉じる。でも、何も起こらなかった。
「悪かった、おれからの悪戯だ。少しは肝が冷えたか?」
肝が冷えるなんてものじゃないけど!って抗議は一度仕舞っておいて、目の前の人型のドレークさんをぎゅっと抱きしめた。

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