メイド服

キラー


キラーに渡された服は露出は酷くないが、私に似合うか不安なロングのメイド服だ。しかも髪飾りや靴まである。仮面越しにうきうきしたような、期待するような目を向けられてしまっては断れなくて渋々着替えて部屋から出た。
「やっぱり○○によく似合うな、髪はアップにしないか?」
「いいよ、キラーしてくれる?」
いそいそとクシとゴムを用意する彼を見てやっぱり何かおかしいなと思う。いつもより浮き足立ってるのはなんでだろう。
「できたぞ。ほら、手貸せ」
手を取り立ち上がらされ、そのまま船内を練り歩く。会う船員達に「Trick or Treat」と言えばお菓子をくれるし、私も持たされたお菓子を配ってあげる。待って、これ見せびらかされてる?会う船員全員に微笑ましい顔されるのってそのせい?
「おれからもTrick or Treatしていいか?」
「いいよ」
お菓子が入ったカゴを見ずにOKを出せば、「Trick or Treat」と言われカゴに手をつっこむ。
「あれ?」
もうそこにはお菓子はひとつも入ってなくて逆さにしてもゴミすらでてこない。
「キラー、まさかこれ狙って……」
「さぁな、だがお菓子がないのか。それは困るな、悪戯を受けてもらわないと」
「ぎゃ、」
そう言ったかいなや、荷物のように抱き抱えられる。抵抗になればと足を暴れさせれば「そんなに暴れたらみぞうちに刺さるかもしれないぞ」と言われすぐ大人しくした。どこへ連れていかれるのだろう。けどこの道からしてキッドの部屋か、甲板か、食堂?そう考えてる間に食堂の扉の前で降ろされた。
「開けてくれ」
何かびっくりするもの飛んでくるじゃないかと怯えながら開ければ、中はお菓子やケーキのてんこ盛りの状態だった。
「作り始めたら止まらなくてな。好きなだけ食べていいぞ」
「これ全部?悪戯じゃないじゃん」
「悪戯はさっきの抱え方だ。こっちはTreatだ。さぁ、あの言葉を言ってくれ」
「わかった……Trick or Treat!」

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