スチームパンク

キッド


妖怪や魔女の格好をしてもよかったけど、たまたま島のコスチュームショップに売っていたこの服を見てキッドを思い出してしまい、即座に買ってしまった。もちろんゴーグルもセットで。
「キッドHappy Halloween!」
「あ?……なんだその服」
「いいでしょ!これキッドみたいじゃない?」
「作りは荒いが、まぁいいんじゃねェの」
私の所々機械になった部分や、チェーンを触ってくる彼に嬉しさを感じながらもあの言葉を口にする。
「Trick or Treat!」
その瞬間すごく嫌そうな顔になった。やめて、腕握らないで痛い。
「お菓子ィ?そんなもの持ってるわけねェだろ!」
「キラーにもらわなかったの?」
「そんなんもう全部食べた」
さすがの食い意地。
「じゃあ悪戯ね」
「おれにできると思ってるのか?」
真っ赤な口紅を出しながら「これなら許してくれるでしょ」と自分の口に塗り彼の頬に唇を寄せる。キッドはさっきと違いにたにたと笑っていて、やっぱりこの悪戯にしてよかったと思った。
「できた」
キッドには鏡を見せないでおこう。可愛いキスマークの上に「It’s mine!」って書いたのがバレたくないから。

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