メドゥーサ

ベックマン


夜も更け、宴も落ち着いたというのに彼女は一向に部屋に帰ってこず、どこかで寝落ちたか?と船内を探す。だが、廊下を見ても食堂を見ても転がってるのはクルーだけ。寒いからここで寝落ちてないといいんだが、と思い甲板に続く扉を開けると、海を眺めている彼女がいた。
「○○どうした、眠れないのか」
「……」
近づきながら声をかけるのに何もしゃべらない。よく見れば服や髪が少しおかしい。ボロボロのドレスに髪はなんだこれ蛇か?なにかがついている。そっと彼女の肩に手をかけ振り向かせれば目を瞑ったままこっちを向いた。
「本当にどうし……」
「見たな」
がっと勢いよく開かれた目は真っ赤で少したじろぐ。だがすぐに距離を空け、何かがおかしいと観察するように見ていれば「はははははは!」とお頭の船中に響き渡る笑い声が聞こえた。
「やったな!やっぱり○○だとベックはビビると思ったんだよ」
「すっごい怖かったんだけど!」
騙されたってわけか。会話の内容からしてそうらしい。騙されたことに笑いながら、彼女がいつも通りけらけらと笑っているのを見て、密かに安堵する。だが、それと悪戯は別だ。
「Trick or Treat」
今お菓子なんて持ってないだろう?二人の話をぶったぎるようにかけた言葉に彼女はあたふたしていて、さてどんな悪戯を返してやろうかと頭の隅で考え始めた。

[ 25/47 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -