8/16 サカズキ
スーツによくつけてる花を今日は盛りたくて4本5本と刺す。カラフルでポケットがぱんぱんになった辺りで後ろに気配を感じた。
「なにしとるんじゃ」
「誕生日だからポケットを豪華にしてる」
「聞くほどでもなかったな」
後ろから被さるように手を伸ばしポケットから花を抜き取られる。最後に残ったのはいつものピンクのバラだけだった。
「こういうもんは女がつけるもんじゃけ」
抜いた花は全て私の頭に刺されていて、ハーフアップしてる髪が少し豪華になった。落ちないように花に触れればいい香りがして、嬉しくて口角が自然にあがる。
「行ってくる」
「行ってらっしゃい!サカズキさん誕生日おめでとう」
「あぁ」
それだけの返事なのにいつもと違う表情な気がして愛おしい気持ちがお腹の底から湧いてきた。今日はお昼ご飯作って海軍基地に突撃しちゃおう。精一杯手をふり、帽子のつばを下げたサカズキさんを玄関で見送った。
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