140字SS 海軍・政府

もっと一緒にいたいんだもん/ヘルメッポ
「私はもっと力をつけあなたに貢献したいと思っています。ですから、」
大将を前にべらべらとまわる口に我ながら引いてしまう。私情を挟んでいるとは思えない。外で待っていたヘルメッポは呆れた顔をしていた。
「で?ガープ中将のとこに異動か?」
「ばっちり」
「お前その頭の回転の早さ別のところに使えよ」
そう言う彼に明日から隣で訓練するのが楽しみだと襟を引っ張って口付けた。



愛せるなら愛してみろ/ヘルメッポ
「_______、今日何食べに行く?」
おれ以外の名前を呼びおれと目を合わす。おれが別の誰かに見えているらしい。おれじゃない名前を呼ぶたびに腹にどす黒い感情が湧いて、「おれはヘルメッポだ」と叫びたくなるのを抑える。
「あー、イタリアンはどうだ?」
「イタリアン好きね」
なァ、神様これはおれへの試練か?


おれだけが知ってればいい/ヘルメッポ
がやがやとうるさい喧騒の中、おれは遠くにいる彼女をずっと見つめていた。カクテルのような弱い酒を勧められちまちまと飲んでいる。もうそろそろ限界だろうと酒を煽りながら見ていれば、席を立つのが見えおれもそれに合わせて立ち上がった。
「満足したか?」
「まらのめるよ」
「呂律がぐだぐだだぞ」
アルコールに弱い体ではもう立ってられないのか胸に飛び込んでくる。それを抱きとめながら「介抱されるのはおれだけにしとけよ」と嫉妬の塊を吐き出した。


グラスにうつった真実/モモンガ
久しぶりの食事で私は浮かれていた。ホテルまで丁寧にエスコートされたのも要因の一つではある。だから別れ話をされるとは思っていなかったのだ。
「私と別れてくれ」
「その前に顔ぐらい見せて」
ワインを持った手と肩を掴まれているせいで振り向けない。
「だめだ」
「なぜ?」
その問いに答えず別れて欲しい理由を並べていく。その間にグラスを反射するように動かせば別れて欲しいと言う男の顔ではなく、真っ赤に頬を染めた男の顔がうつり「隠すの下手ね」と誘うように無理やり後ろを振り向いた。



幸せにはできないけれど/モモンガ
砂浜を軽やかに走り回る妻を転けないようにたまに手を握る。手を握ればもっと嬉しそうに笑うのを愛おしく見つめれば抱きしめられた。この時が何度もループすればいい。そんな到底無理なことを考えて目頭が熱くなった。五分後、明日には本部に、頂上戦争に、行くと伝えるから、それまでの間は私の持ってるもの全てで君を愛そう。



最初から壊れているの/スモーカー
同じ家に住んでいるけど、出会うことは少ないしご飯は別々気づいたら帰ってきていて気づいたら家にいない。2人で別居しているみたいだった。私達この前結婚したんじゃなかった?仕事を止めてまで帰ってきて欲しいとは思わないし、仕事は大事にして欲しい。けど、私って家政婦だったかな?そう思うと涙が頬を伝うが、それを拭ってくれる人はまだ帰らない。


どこへ帰ればいい?/クザン

クザンというやつが気まぐれで拾ったのが私で、恩返しに船に乗った。
「拾ってくれてありがとう。私帰るとこないから海兵の足しにでもしてよ」
時間稼ぎぐらいにはなるよと笑えば腕を掴まれた。
「誰も海兵にするなんて言ってないでしょうが。帰る場所はあげるから、その代わりおれの帰る場所になってよ」
私の心の奥底にある悩みを消し飛ばすような言葉で、恥ずかしかったから「プロポーズみたい」って言ったら「そういうつもりでもいいよ」と微笑まれた。


頬に爪をたてる/ジャブラ
彼が元から狼らしいのか、悪魔の実の影響か少し乱暴な面がある。キスも喰われそうなほど八重歯が刺さるし、行為中肌を噛んでくる。おかげで次の日タートルネック以外着れない。だから少し復讐で彼の肩を噛んでみたけど、驚くほど歯が刺さらなかった。彼も頭にはてなマークを浮かべている。これじゃ意味ない!と最終手段、柔らかそうな肌に爪をたてれば「いってェ!」と叫ばすことに成功したのだった。


人生で一番/ジャブラ
「はぁー!最高」
そう言いながらおれの毛皮に顔を埋める彼女に手を伸ばしそっと包む。頬の緩みが一段階あがった。毛皮を楽しみ、おれはコイツの体の柔らかさを楽しむ。「幸せー!」と叫ぶコイツに「もっと幸せにしてやろうか」と言えば食いついたから体を元に戻し、服をめくってやれば焦ったような声をだすがもう遅い。
食べる準備は終わってる。



朝食ご一緒しませんか?/ジャブラ
最近カフェに来てくれる彼はずっと私を見ていてすごく視線が突き刺さる。目を合わせようと振り返るとフィッと逸らされるそんなことを何十回と繰り返していた。
「何か御用ですか?」
「はァ?別に何もねェよ」
勇気出して聞いてみたのに嘘みたいに冷たい態度で返され、離れようとすれば「お、おい!」と声をかけられた。
「あー、あのよ。お前朝飯食ってねェだ狼牙、ここで食えよ」
店員なのに?と不思議に思ったあと、ご飯のお誘いかと理解し、目の前で制服を脱いだ。



目を奪われる/ルッチ
初めて見たときなんて色男なんだろうかとパーティが終わるまで目で追いかけていた。テラスに出ると彼の姿がどこにも見えなくなりもう帰ってしまわれたかと気を抜けば隣に風が舞った。
「隣よろしいですか」
それから私達はプライベートでも会うようになり、親密な関係へとなっていった。なのに、それは偽りの姿だったなんて。
「おれはお前を愛してなどいない」
嗚呼、どうしてくれるの。あなたに目を奪われたその瞬間から私はあなた以上の男を探すことは出来なくなってしまったのに。



一緒にいなくなってあげるから許してね/ルッチ
CP9のルッチの冷ややかで愛の欠片もない目を見て私は決めた。
「アイスバーグさん、私ルッチと心中したことにしてください」
アイスバーグさんとパウリーを縄からなんとか解放したあと、そう言うと驚きで目を見開いてる2人を置いてけぼりにして炎の中に飛び込む。
好きでもない女と心中の噂なんて最高の復讐じゃない?



忘れてあげる/カク
ああ、そう。そうなのね。私を愛していたのも嘘だし、船大工も嘘。腹が立つ。あんなクソ男覚えていたら私の脳が可哀想だ。あんたがそうなら私もこうしてやると今までのカクとの思い出、ペアだったマグカップから一緒に開けただけのガチャガチャのおもちゃまで全てを持って海の傍に立つ。もうすぐアクアラグナだから全て消える。
じゃあねと声をかけ思い出に浸る隙も作らず海に投げた。



君に呪いをかけてあげましょう/カク
「この花の花言葉は情熱、こっちは、」
カクと道を歩きながら見つける花全ての花言葉を言う。「よう知っとるな」と笑う彼に花屋によって「愛」という花言葉がついた花を渡した。それだけでもう私はカクの脳内の1割を支配できる。
ねぇ、カク。今花を見るたびに私のこと思い出してるでしょ?


無理をするのは得意/カク
まぁご丁寧にわしの家に突撃しおって。悪態つきながら怖がってる彼女を抱える。
「外にもい、いっぱい」
「見んでええ、わしがなんとかする」
「むりだよ」
「わしに無理なことなんてあると思うんか?」
おしゃべりはここまでにして彼女をクローゼットに投げ入れ敵とご対面すれば、どうしたもんかのと首を鳴らし、戦場に飛び込んだ。


痛い/カク
しがん?というものを体に受けた。死ぬほど痛いのに肩を貫かれただけだから意識も失えなくて玉のような汗が体を流れる。
「これでお前ともお別れじゃ」
それならなんで、そんな顔してるの。あなたのほうが痛そう。まるで心臓にナイフを受けたような顔をしていて、もっと悪そうな顔とかして刺しなさいよと彼の頬を撫でた。

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