6/6 モモンガ
クリームを泡立てるモモンガさんを見れるのは私だけの特権じゃないだろうか、と優越感に浸りながらクリームを横からとって舐める。「こら」と窘める声が聞こえ逃げるように手を洗った。
「スポンジを作り終わったからって私を眺めてどうする。果物切ってくれ」
「はーい。だってケーキ作るモモンガさんなんてレアだから」
なにしてても男前と褒めれば「褒めすぎだ」と耳を赤くした。そんな彼を可愛いと思いながら、果物を冷蔵庫からだしてまな板にのせる。1個2個と切り、もう少しで終わりというところまでくると横から手が伸びてきて包丁を固定された。急に何かと見あげれば腰を抱き寄せられ耳に口を寄せられる。
「君の料理する姿もとても素敵だ」
ぞわっと背中になにかが走り、熱い顔で彼の顔をそっと見れば彼もじわじわと顔が赤くなっている。
「好きだよ」
「なぜ笑っている」
「モモンガさん好きだなって」
真っ赤な顔のままムッとした表情をする彼の頬に唇を寄せ機嫌を直してとすりよれば腰にまわっていた腕を離される。
「飾り付けがまだだったな」
「いちごたくさんのせたいな」
かっこいいところが見れたからいいかと離れた彼に無理やり寄ることなく、余りそうなパイナップルを彼の唇に優しく押し付けた。
「誕生日おめでとう」
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