6/5 ジャブラ

玄関で彼を迎えた瞬間、腰に腕をまわされ深くキスされる。がっつき具合がいつもと違い背中が痛い。腰が抜け立ってられなくなるとそっと座らされた。それでもそっとだったのはその動作だけで、私の唇を貪る口や下着をずりあげようとする手は荒々しくて彼の口の端を掴んで引っ張った。

「っん、ちょっとちょっとなに!」
「いだだだだ、痛いだ狼牙!」
「何もかもが急だからでしょ」

少し調子のおかしい彼に「なんでこんなことするの」と聞けば「誕生日だからだ」と凝りもせず私の口を舐めあげながら言う。

「誕生日?本当に言ってる?なんでもっと早くに教えてくれなかったの。プレゼントもケーキも用意してないよ!」
「別にいらねェからな。だが、気が変わってなァ。」

顔を寄せられたことで、天井が見えるぐらい仰け反る。まさか、

「それぐらい祝う気持ちあるなら最後まで付き合えよ。」

祝いという名目で色々させられるのかと思うと頭が痛くなった。

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テーマ「人外ファンタジー」
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