弱くても勝てない
お風呂にバラの花びらなんてどこかのセレブかとつっこみたくなるが一度はやってみたかったから気分が高揚している。今も花びらを手ですくっては落とす無意味な動作を繰り返していた。
「大丈夫?バギー」
「あ?大丈夫じゃねェ。お前は楽しそうだな」
「バギーとのお風呂だしバラ入ってるからね」
バギーのほうに花びらを集め目の前で落とした。うっとおしいみたいな顔しないで。
肘をつきしんどそうな顔をするバギーの髪を耳にかけ、頬に口付ける。
「おい、やめろ」
「んー」
「やめ、ろ」
頭を掴まれるが全く力が入っておらず気にせず近寄る。顔を持ち上げれば手首を掴まれた。いつもと立場が逆だ気分がいい。啄むようにキスしたあと深く酸素を奪うようにキスする。楽しくなってきて肩に食いつけば、水をかけられた。
「っ、わ」
「やめろつってんだろ。出てからにしろバカ」
手首を掴まれたままお風呂から出る。タオル一枚で、床が濡れるのも気にせず、ずかずかと歩く彼にされるがままでいるとベッドに転がされた。
「もう好きにはさせねェ。へたんじゃねェぞ」
水で濡れた髪と花びらがぱらぱらと落ちてきて冷たい。なのに、掴まれた腰は熱くて温度差で目が眩みそうだ。さっきのぐったりした態度とは程遠いニヒルな顔をされて赤い鼻にキスした。
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