子供なのは結局私
「シャンクス!私のプリン食べたでしょ!」
「冷蔵庫のか?名前を書いてない〇〇が悪い」
「ルウの特製のプリンだったのに!」
「だろうな。美味かったよごちそうさん」
その言葉を聞いた瞬間彼に飛びかかる。どうせ名前を書いても「見えなかった」とか言うんだからこの男。
「シャンクスの馬鹿!」
「馬鹿って言うほうが馬鹿だ」
「はァ?」
船員はみんな口を揃えて私たちのことをこう言う。「黙ってればオーラがあるのにな」と。元々顔が大人っぽい私と船長の肩書きをもつシャンクスは並んで立つと貫禄があってお似合いらしい。だが、口を開くと五歳児で海賊船の船長の女とは思えないと散々言われた。そんなこと知るか、と二人して言ったのは記憶に新しい。
「またやってら」
「もう五回は同じことで喧嘩してんぞ」
「シャンクスが反省の姿勢見せるまでやめないの!」
「一生無理だな」
私を無視して部屋に帰ろうとする彼をドスドス音を立てながら追いかける。今日こそは「ごめんなさいおれが悪かったです」って土下座させてやる!
部屋の扉を超えシャツを捕まえてやろうと伸ばした手は気づけば扉に押さえつけられ背中もぶつけていた。
「〇〇おれが悪かった。次はやらないから、許してくれ」
「え、っや」
「頼むよ」
出た!シャンクスの甘え顔!心の中ではそう叫ぶのに口には何も出せず開いたり閉じたりを繰り返す。バクバクと音が聞こえそうな心臓に落ち着けと言うが止まらない。その間も彼は顔を近づけてきている。
「ゆ、ゆるしてあげる」
「ほんとうか!ありがとう」
言っちゃった!シャンクスがもう一回やらないわけないのだ。なのに、迫られ顔を寄せられると何度でも許してしまう。心の中で地団駄を踏みながらせめてもの反抗に睨みつければ「可愛いなァ」と口付けられて「やっぱ許してあげない!」と叫びたかった口は塞がれた。
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