ネックレスは返して

彼が左腕をなくしてから色々なことを片腕でやる練習をはじめ出した。自分の服のボタンを留めることやない方の袖を結ぶこと、字を書くこと。私を持ち上げたりとかもしていて、今の生活に慣れようと頑張っていた。

「〇〇、それおれにやらせてくれ」
「え、難しくない?」

ある日出かけるからこの前の島で買ったネックレスをつけようと、鏡の前に座ると彼が後ろから目を輝かせているのが見えた。でもネックレスなんかチェーンの小さな穴に引っ掛けなければならないのにできるのか?ともう一度見ればもう彼は私の後ろに座っていて仕方なくネックレスを渡した。

「口でチェーン咥えて右手で金具開いて引っ掛ければ終わりだ」
「言うのは簡単だけど」

晒したうなじに彼の息が当たってゾワゾワする。それだけで顔が真っ赤で見えないように手で覆い隠すのに、彼は必死で気づいてないのかしゃべりだす。余計に首元がくすぐったい。

「あーうつかいいは」
「無理だったら今日はやめておこうよ」
「いやだ」

もう熱いところがないほどに体温があがっていて辛い。お願いだから早くしてと叫びそうになるのを耐えていれば彼の動きが止まっていることに気づいた。鏡越しに恐る恐る目を合わせれば少し驚いた顔のあと悪戯をするときのようなにやりとした顔。

「そうかそうか」
「なに、ぎゃ、」

べろりとうなじに舌を這わされ、息を吹きかけられる。さっきからギリギリだった私は、それだけで限界になってしまって抵抗しようと伸ばした手は掴まれてしまった。声にすらならない息を漏らすしかできず、それを楽しんでいるのか歯をたてたりキスをしたり。
「〇〇、散歩は後にしないか?」
鏡の中に映るシャンクスは本当に楽しそうでにこにこ笑ったあと、後頭部にまわった手に導かれ彼の唇にキスするしかできなかった。

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