ショートカット

戦ってる最中に視界に髪が入る、銃をかざしても邪魔で照準があわない、そういうことが増えてきてまたばっさり切った。もちろんヤソップにお願いして。そのせいで、何かをしていても顎の位置くらいになった髪の先をくるくると指で巻いてしまう。手持ち無沙汰なわけでもないのに。くるくると今日何度目かの動きをしながら本を読んでいた。

「ぎゃ!」

私の悲鳴にクスクス笑う彼を睨みあげる。うなじを人差し指で撫でられたらそりゃあこんな声が出るよ。うなじを触られないように手のひらで押さえて隠したのに、そんな抵抗彼には意味が無いようで手首を掴まれ離された。

「短ェのもいいな」

ツーっとさっきと同じように上から下へ人差し指が這って何度か往復したと思えば首を柔く掴むように指が降りてくる。触り方のいやらしさと首を触られることの危機感で背中からぞわぞわしたものがあがってくる。気づけば顔が俯いていた。

「、なに」
「いいや、ただ触ってるだけだ」

今見えないけどきっと笑ってるんだろうな。ちょっとだけ悔しくて仕返しを考えようとした瞬間、がぶりと歯をたてられその心はぽっきりと折られてしまったのだった。

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