おれだけが

唇を離したその後顎にかかっていた手が首をなぞるように降りてくる。するりと胸元にまできたかと思えばそこに顔をよせられた。

「跡つけてもそんなところ見せることないんだけど」

露出した服はあまり好きじゃないし、こんなの水着でも着ないと見えないところだ。どうしてこんなところに?と首を傾げたがベックの目線はさっきつけた跡にいっている。

「誰にも見えなくていいし、誰にも見せなくていい。ただおれだけがここにあると知っているだけでいい」
「こんな欲がある男は嫌いか?」

とん、と私にここにあると強く感じさせるように指をおく彼。そんな身体中が燃え尽きそうなほど熱い目をさせて、私が嫌いなんて言っても離してくれないくせに。ちょっとだけ意地悪したくなって「さあね」とだけ言って微笑んだ。

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