爪とぎはやめてくれよ

シャンクスが散らかした書類を分けて整頓をしているベックに出くわした。ソファの上にシャンクスの上着がぐちゃぐちゃに置いてあって、誰も見てない間に飛び出したのが丸わかりだ。私はベックに会いたくて部屋を出てきたから好機とばかりに後ろから抱きついた。

「どうした」
「気にしないで」

一度離れて座ってるベックの太ももと腕の隙間に頭を入れる。太ももの上でごろごろと転がれば、頭を掴まれ固定された。

「仕事しにくいからじっとしててくれ」

そう言われれば仕方ないと彼のほうを向いて腹筋に顔を埋める。暖かくて眠くなってきた。彼が誰かとしゃべる声をBGMにすれば目は勝手に閉じた。



笑ってしまいそうになる口角を誤魔化すために新しい煙草に火をつけ口を覆い隠す。目敏いこの赤髪の船長にはバレたようだが。

「まるで猫だな」
「お腹すいたら擦り寄ってくるしなァ。おい、触らないでくれ」
「はいはい」

シャンクスは今の自分の立場が分かってないのだろうか。数時間前自分が書類を投げ出したことはすっかり忘れているらしい。

「おれは猫に構いたいんだがいいよな?」
「あぁいいぞ」
「じゃあ書類を頼んだ」
「は、」

後ろにいたヤソップに見張りを頼んで、猫のように抱きあげればだらんと体が伸びて、ここまで似るか?と口の端を思いっきりあげ笑い声をあげた。

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