蝶よ花よ

ベックに似合うものと言えば、煙草、コーヒー、火薬、血の匂い。でも今だったら明るい色の花も似合うと言いきれる。

「すごく素敵ね」
「そうだな、目を奪われる」
「違う。ベックのことだよ」
「……お前のそのキラキラした目でわからないほど馬鹿じゃない」

少し気まずそうに目を逸らしたベックに手折った花を髪に刺す。もっと居心地悪そうな顔をしてる。そんな彼を可愛いと思ってしまうのは内緒だけど。

「花はお前のほうが似合う」
「そんな気がするだけ」

花かんむりを作ることに必死で思ったより冷たく適当な返事をしてしまった。慌てて顔をあげようとすれば体が傾き花畑の中に寝転んでいた。

「こうすればよくわかるな」
髪の毛をひと房掴みキスを落としたあと散った花びらを髪の毛に混ぜられている。優しく私を慈しむ目で見られて、私が誰よりも可愛いのだと思わせられそうになるが、彼の髪を見て笑ってしまった。

「なんだ」
「ベックも可愛いなって」

そう言い彼の髪に刺したままのピンクの花を撫でればさっきつけられたのを思い出したのか、ため息をつかれた。少しぐらい格好のつかないベックも可愛い。それを言えば口に噛みつかれるのはわかっていたから黙って彼の髪の毛に口付けた。


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