ずっとおれのことで頭いっぱいにしてて

「何が欲しい?」

彼が仕事をしてる横のベッドでごろごろと新聞を読みながら問いかければ、頭にはてなを思い浮かべてそうな顔して手の動きを止めた。

「何だよい急に」
「次の島観光地でしょ?マルコに何か贈り物したくて」
「今欲しいものは新しいインクだよい」

冗談で空になりかけているインク瓶を横に振る彼に、そうじゃないんだよなとジト目を向けると笑われた。

「お前が贈ってくれるならなんでも構わねェ」
「そんなベタな」
「島に着くまで必死におれへの贈り物考えて、頭の中をおれだけにしてくれ。それが一番嬉しいよい」

椅子をベッドのほうへずらし私の顔を包み見つめられる。鼻がつくほどの距離のせいか、もう私にはマルコのことを考えるしかできなくて頭がパンクしそうだ。
「わかったそうする」と平常心を保ってるような顔をして部屋をでたけど心臓はうるさいし、何をプレゼントしようかとすでに考えてる私の頭は、完全に彼の策にハマっているなと自嘲した。

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