雪を閉じ込めて

※クリスマス


「ん、」
「起こしたか?」

急に部屋が明るくなれば起きもする。 起こしたか?なんて白々しい。

「メリークリスマス」
「今何時か知ってる?」
「午前2時だな」
「私寝たいんだけど」

昨日誰かさんが寝かせてくれなかったせいで寝不足だ。それを彼もわかっているはずなのに……。

「ごめんな。ちょっと行きたいところあるから着替えてくれ」
「拒否権は」
「ねェな。着替えるの嫌ならそのセクシーなままでもいいが」

誰もいないだろうと言うが私は上キャミ1枚に下なんか下着だ。こんな寒いなか出れるかと着替え始める。コートまで着て振り返れば準備万端の彼がいて、腰が痛いから手を伸ばせば抱き上げられた。

「どこ行くの」
「内緒」

最初は見慣れた町だったけど、どんどんと森へ向かっていく。少し温度が下がり彼に密着してから15分ぐらいで歩みを緩めた。たどり着いたのは森林の奥のぽっかり空いた場所で、そこだけ雪が降っている。小さな湖があるから雪が吸い込まれているみたいに見えた。

「なに、これ」
「綺麗だろ」

月明かりに反射してきらきらと輝いているせいで現実にない光景かと思うぐらい、それぐらい神秘的だった。

「この景色が1個目の俺からのプレゼント2個目はこれ」

コートのポケットから出てきた箱の中には、雪の結晶があしらわれているピアスが入っている。こっちもきらきらと目の前に落ちてくる雪をそのまま閉じ込めたみたいで綺麗。

「ここ見つけたとき〇〇ちゃんにこの雪似合うんじゃないかってな」
「ありがとう。私プレゼント家に置いてきちゃったんだけど」
「それは後で貰うとして今はこっちな」
「はいはい」

顎を掴まれ何をしてほしいか瞬時に理解した私は、呆れながらも顔をそっと彼に近づけた。

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